PRODUCTION NOTE
井上麻里奈・鬼頭明里が劇中歌を生歌で初披露
二人のトワコが
二つの祈りを謳う
言葉では届かない想いがある
本作には、この朗読劇のためだけに書き下ろされたオリジナル楽曲があります。朗読劇でオリジナル楽曲を物語の中心に据えることは珍しい試みですが、それには理由があります。トワコという人物は、言葉だけでは語り尽くせない痛みを抱えているからです。事故によって片脚を失い、生きる意味さえ見失った彼女は、それでもなお前を向こうとします。しかし、その感情は、どれほど多くのセリフを重ねても語り切ることはできません。だからこそ本作では、言葉ではなく「歌」という表現を選びました。
歌は、もう一つの物語になる
朗読劇とライブが交わる瞬間
歌が始まると、劇場の空気は静かに姿を変えます。朗読劇として積み重ねられてきた物語が、音楽によって一気に感情へと変換されるからです。観客は物語を「理解する」のではなく、「体験する」時間へ導かれます。セリフで描かれた出来事と、歌によってあふれ出す感情。その二つが重なることで、朗読劇でありながらライブのような高揚感が生まれます。それは、本作ならではの新しい観劇体験です。
二人のトワコが紡ぐ、二つの祈り
本公演では、井上麻里奈さんと鬼頭明里さんが、それぞれ異なるトワコとして生歌を披露します。同じ楽曲でありながら、その歌は決して同じものにはなりません。井上さんが描く静かで凛とした強さ、鬼頭さんが描くまっすぐで力強い生命力。それぞれの歌声がトワコという人物に異なる命を吹き込み、観客は二人のトワコが歩んだもう一つの人生に出会います。同じ物語を二度観たくなる理由の一つが、この歌唱にもあります。
解説
夜は終わらない。
それでも、人は歌う。
井上麻里奈さん・鬼頭明里さんが歌うのは、本公演のために書き下ろされたオリジナル劇中歌です。
大切なものを失い、世界から意味が消えてしまったように感じる夜。それでも「We’re still alive(私たちはまだ生きている)」という一節は、絶望の中にも消えることのない、生への意志を静かに歌い上げます。
レイヴカルチャーが受け継いできた「音楽は人を自由にし、人と人をつなぐ」という精神を受け継ぎながら、この楽曲は、トワコという一人の少女の痛みと再生を描きます。劇中で流れる歌声は、トワコだけのものではなく、池袋という街で傷つき、それでも前へ進もうとするすべての人々への祈りでもあります。